BLOG 楕円紀行

About Koichi Murakami

22th 正論は日本

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ジャパンラグビートップリーグ(TL)は、10月29、30日で7節を終了。ダークホースといわれた三洋電機ワイルドナイツが6連勝で首位に立ち、連覇を狙う東芝府中ブレイブルーパスがこれに続いている。復調の兆しがあった神戸製鋼コベルコスティーラーズは、7節でNECグリーンロケッツに逆転負けを喫して、優勝は苦しくなった。

TLは1か月の休止期間に入るが、12月4日からの後半戦は、マイクロソフトカップ(トップ8トーナメント)、日本選手権出場枠(トップ4)を目指しての勝ち点争いが一層激しさを増しそうだ。 と、新聞の短信記事のように書き始めた今回のコラムだが、みなさん気になるのは2011年ワールドカップ(W杯)招致の行方だろう。ということで早速その話を。結論から書けば、ほんとうに読めない。
立候補を表明しているのは、日本、南アフリカ、ニュージーランド(NZ)だ。開催国は、11月17日(日本時間18日午前0時30分)、アイルランドのダブリンで開催されるIRB(国際ラグビーボード)理事会での投票によって決まる。票を持っているのは、12か国と4つの地域協会だ。IRB主要8か国(アイルランド、イングランド、ウエールズ、オーストラリア、スコットランド、フランス、NZ、南ア)が各2票ずつ。日本、イタリア、カナダ、アルゼンチン、そして、アジア地区、アフリカ地区、欧州地区、オセアニア地区が各1票。計24票。1回目の投票で2か国に絞り、決戦投票が行われる。
招致活動状況については、11月5日の日本代表対スペイン代表戦に合わせて、雑誌や新聞に次々に記事が掲載されると思うので詳細は割愛するが、優位に立っているのは南アのようだ。代表チームの実力、多数の巨大ラグビースタジアム、集客力、アフリカ大陸への普及策、あらゆる面で大会の成功は約束されている。不安視されているのは、治安の面くらいである。NZは苦戦している。 ただし、ここが重要なのだが、世界的にみて、開催国はどこにすべきかと問われたときの正論は「日本」なのである。

多くの選手や、世界のメディアが日本開催を支持しているのは、それが正論だからだ。ライバル国はすでにW杯の開催経験があるし(NZ=87年、南ア=95年)、これまでW杯はIRB主要8カ国の中でしか行われてこなかった。
現在のIRBが「ラグビーのグローバル化」をうたう以上、結論は日本しかないのである。にもかかわらず、招致レースが混沌とするのは、日本ラグビーに不安材料が多すぎるからだ。日本代表は、過去のW杯で1勝しかあげられず、昨年11月にスコットランドとウエールズに大敗するなど実力が一向に上がらない。一試合平均四万人以上の観客を見込む南アにはとうてい及ばない観客動員力の問題もある。
アジアへの普及策が未だ準備段階であることなど、課題をあげればキリがないのだが、ここまでくれば正論で押しまくるしかない。日本開催を支持しない国は保守的であり、ラグビーの未来を考えていないと思わせるような、日本開催を決めなかったIRBがメディアから総攻撃を受けるようなプレゼンテーションをやって(もちろん前向きに)いくしかない。正論で真正面から勝負だ。

私は2011年W杯日本開催に賛成の立場をとる。今の日本ラグビーには明確な目標が必要だ。皆が共有できる夢を持ち、それを軸に改革は進められるべきなのだ。2011年にW杯が来なければ改革のスピードは確実に鈍る。今季トップリーグの観客が減少しているのは、日本ラグビー凋落への警鐘である。放置すれば人気のある大学ラグビーや年末年始の高校ラグビーも観客は減少するだろう。トップリーグ後半戦の優勝争い、来春からの日本代表シリーズはプロモーション次第では観客を集めることができるはずだ。その弾みをつけるためにも、W杯開催を勝ち取らなければ。